カサンドラ症候群
「カサンドラ症候群(かさんどらしょうこうぐん」は、アスペルガー症候群の配偶者やパートナーとコミュニケーションが上手く構築できない事により、様々な症状が生じてきますが、とりわけ精神的、肉体的苦痛が主なものになります。
カサンドラ症候群の主な症状としては、自律神経失調症、片頭痛や体重の変動、自己喪失感、パニック障害、抑うつ・無気力状態などが挙げられます。
< カサンドラ症候群語源 >
カサンドラ症候群の語源となったカサンドラとは、「人々から決して信じてもらえない予言者」のことです。
カサンドラは、ギリシャ神話に登場するトロイの王女の名前で、彼女に恋した男神アポロンによって予知能力を授けられたのでした。
しかし、カサンドラには「将来アポロンの愛がやがて冷めて行き、自分を捨ててしまう」という予知をして、アポロンを振ってしまいます。
怒ったアポロンは「カサンドラの予言は誰も信じない」という呪いを掛けたのでした。
その結果、カサンドラには予知能力が残されものの、正しい予言をしても誰からも無視され、未来を変える事も理解されることもなかったのでした。
しかし、米国精神医学会の診断基準に含まれておりませんので、当然正式な病名として認知されてはいないのです。
< カサンドラ症候群の原因 >
アスペルガー症候群のパートナーや配偶者は、コミュニケーションが上手くとれない、理解してもらえないことで自信を失ってしまいます。
何の変哲も問題なく見えるアスペルガーパートナーへの不平不満を他者へ口にしたとしても、多くの人からは信じてもらえないと言う心の悩みが生じ、精神的且つ身体的な苦痛が現れてきます。
カサンドラ症候群に見られる主な症状としては、自律神経失調症、片頭痛や体重の変動、自己喪失感、パニック障害、抑うつ・無気力などが挙げられます。
カサンドラ症候群に悩まされている方は、アスペルガー症候群のパートナーを持つ者の二次障害として非常に深刻な問題になっているのは言うまでもなく、 家族へのケアの重要性が精神医学会からも指摘されています。
< カサンドラ症候群の診断・判定 >
パートナーが次の項目に一つ以上該当する場合は、精神科や心療内科を受診されますよう、お勧め致します。
1.パートナーの心の知能指数(EQ)が低い
心の知能指数(EQ)とは:自己や他者の感情を知覚し、自分の感情をコントロールする知能の事で、他者の考えに「そうだ」と感じる共感指数、感情を認知する事が不得意なアレキシサイミア(失感情症)が含まれる。
・自己や他者の感情を知覚し、自分の感情をコント
ロールする知能が低い。
・感情を認知する事が不得意。
・他者の考えに「そうだ」と感じ難い、低い。
2.他者との人間関係
・激しく対立する。
・家庭内で精神や肉体的虐待がある。
・人間関係における満足感が低下する。
・人間関係の質が低下する。
3.精神、身体に起きる症状
・自分の価値を認めず、大切に扱わない。
・感情が混乱したり、訳が分からなくなる。
・怒り、抑うつ等の不安感情が現れる。
・罪悪感を持つ。
・自分を失う。
・様々な恐怖症が現れる(社会恐怖症、広場恐怖症など)。
・心的外傷後ストレス障害(PTSD)が見られる。
・疲労感。
・不眠症。
・片頭痛。
・体重の増・減。
< カサンドラ症候群の治療 >
カサンドラ症候群は、アスペルガー症候群を持つパートナーの二次障害となっておりますので、アスペルガー症候群の治療が急がれます。
故に、パートナーがアスペルガー症候群と思われたら、早期に精神科や心療内科で診察を受けて、適切な治療を受けるようにしなければいけません。
パートナーのアスペルガー症候群の快方が、そのままミュニケーションを取られる方の治療となり、カサンドラ症候群の快方にも繋がって行くのは言うまでもありません。
しかし、パートナーに受診を促しても、注意しないと新たな問題が生じることもありますので、前もって受診相談をされる方が良いでしょう。